神経的な適応
トレーニングを積んでいない人は最大努力中に71%の筋組織しか活動していない
トレーニングを積んでいない人や、怪我からのリハビリテーション中の人では、電気刺激の方が、成果を得る効果が高い
主動筋の最大筋力とパワーの増大は
- 動員の増加
- 発火頻度の増加
- 神経的な発火の同期の向上により複数の筋が強調して活動する
- これらの要因の組み合わせ
によって起こる
運動単位の適応
一般的には運動単位の動員と非動員の順序はサイズの原理に支配される
サイズの原理
小さな運動単位から動員されて大きな力、スピード、パワーを生み出すにしたがって大きな運動単位が動員されること
高負荷のレジスタンストレーニングでは漸進的に重くなる負荷を挙上するために全ての運動単位が動員されるので全ての筋繊維が大きくなる
一度大きな運動単位が動員されると、低い動員でも再動員できる可能性がある
オリンピックリフティングやプライオメトリックトレーニングのように瞬間的に力を発揮する動作については例外として選択的動員が出来る
選択的動員
垂直跳びの測定などでは1秒未満での爆発的な力が必要になってくる
小さな単位から動員させてたら時間が足りないのでこういった動作の場合は優先的に大きな運動単位を動員させて爆発的な力を出力することが出来る
筋のサイズが増加すると、同じ負荷を挙上するために以前ほどの神経の活性化を必要としなくなる
無酸素性トレーニングは動員された運動単位の発火頻度を促進させる役割がある
神経筋接合部
神経と骨格筋の接点のこと
無酸素性トレーニングによって、神経伝達を促進する神経筋接合部の有用な形態的変化が生じると考えられる
神経筋における反射の増強効果
筋伸長反射
引き伸ばされると収縮する反応
神経筋系の反射(筋紡錘の反射、伸長反射)のこと
この筋伸長反射は追加的なエネルギーなく力発揮を増加させてくれる
とくにレジスタンストレーニングは反射の増強効果を19~55%増大させる
無酸素性トレーニングとEMG研究
EMG(Electromyography : 筋電図法)は骨格筋における神経活動の大きさを調べるための研究手段
トレーニングプログラムの初期(6〜10週間)は劇的な神経の適応が起こり、
トレーニング初心者がすぐに結果が出る理由ですね!
長期化(10週間以上)すると筋肥大が起こる
よく耳にする3ヶ月は続けましょうっていうのも納得ですね!見た目に変化(筋肥大)が欲しいならせめて2ヶ月半以上は頑張りましょう!
最終的に負荷に順応するに連れて、筋肥大はプラトー(伸び悩み)になるが、そこで変化をつければまたパフォーマンスが向上する
いつも同じ負荷や動作では慣れてきちゃうので徐々に重くしたりやり方を変えたりトレーニングに変化をつけていきましょう!
クロスエデュケーション
なんと片側のトレーニング(例えば右腕だけ)をすると、トレーニングをしてない側の筋力が最大22%、平均で8%も増加したとのことです!
中枢神経の適応によるものですが、片方鍛えればもう片方も強くなってるなんてお得感満載ですね!笑
両側性の機能低下
例えば両手で発揮した力よりも、片方ずつ発揮した力を合わせた力の方が大きいということです
これはトレーニングをしていない人に多いみたいです
筋の適応
筋の発達
筋肥大は筋繊維の断面積の拡大のこと
生物学的には筋原繊維にある収縮タンパク質のアクチンとミオシンの増加(合成の亢進、分解の抑制、もしくは両方)によって起こる
タイチンやネブリンのような構造タンパク質も筋フィラメントの変化に比例して合成される
新しい筋フィラメントが既存の筋原繊維の表面に付加され筋原繊維の直径が増大する結果、筋肥大となる
筋タンパク質の合成速度は筋トレ後48時間にわたって上昇する
タンパク質合成の増加の度合いに影響するものは、
- 炭水化物(糖質)とタンパク質の摂取量
- 利用可能なアミノ酸
- 栄養摂取のタイミング
- ウエイトトレーニングによる力学的ストレス
- 筋細胞の水分量
- 同化ホルモンの応答とそれに続く受容器の応答
など様々な要因がある
タンパク質合成の過程は
- 水分の吸収
- 非収縮タンパク質の合成
- 収縮タンパク質の合成
の順番で、同時に分解が減少することで繊維のサイズを維持する
筋増殖
高強度のレジスタンストレーニングに応答して筋繊維が長軸方向に分裂し、筋繊維の数が増加すること
動物では起きるが、人間では賛否がある
筋繊維のサイズの変化
タイプⅡ繊維はタイプⅠ繊維よりもサイズの増加が大きい
遺伝的に速筋繊維の割合が相対的に大きい人は遅筋繊維が多い人よりも得られる筋量の増加の可能性が大きい
筋繊維のタイプの移行
筋繊維は酸化能力の高いものから低いものへと連続体を構成している
(Ⅰ,Ⅰc,Ⅱc,Ⅱac,Ⅱa,Ⅱax,Ⅱx)
高強度のレジスタンストレーニングと有酸素性持久的トレーニングを組み合わせた結果、タイプⅡxから酸化能力の高いタイプⅡaにほぼ完全移行した
構造の変化
羽状筋は筋繊維束が腱に対して斜めに付着している
羽状角は可動域と同じように筋が生み出す力に影響を与え、大きくなればより多くのタンパク質を付加することが出来るので筋の横断面積の増大が可能
その他の筋の適応
レジスタンストレーニングは筋原繊維量、細胞質の密度、筋小胞体とT菅の密度、ナトリウム−カリウムATPアーゼ活性を高める
ATPとクレアチリン酸(CP)濃度が間欠的な高強度の筋収縮後に繰り返し消耗すると、超回復効果によってこれらの高エネルギー化合物の貯蔵能力が増加する
5ヶ月のレジスタンストレーニング(8〜10回、3〜5セット、セット間の休憩2分)後に安静時のクレアチリン酸(CP)が28%増加し、ATPの濃度が18%増加した報告がある
このようなプログラムはグリコーゲンの含有量は112%まで増加する
結合組織の適応
結合組織(骨、腱、靭帯、筋膜、軟骨など)
骨芽細胞は、主にコラーゲン分子からなるタンパク質を合成・分泌し、骨細胞間に沈着させて強度を高める
タンパク質が骨基質を形成し、最終的にリン酸カルシウムの結晶(ハイドロキシアパタイト)として石灰化が進む
新たな骨形成は主に骨の外側表面の骨膜で行われ、直径と強度が増す
一般的な骨の生理学
骨の適応は体軸骨格(頭蓋骨、脊柱、助骨、胸骨)と体肢骨格(肩甲骨、骨盤、上肢と下肢の骨)に置いて異なる速度で起きる
それは海面骨と皮質骨の量が異なるため
MES(minimal essential strain)
新たな骨形成を開始するための歪みの刺激闘値を意味する
この闘値を一貫して超える信号で骨形成を行う
骨折を起こす力のおよそ10分の1とされている
骨の直径が増加すれば力学的ストレスが減少する
骨の成長が進と同じ力ではMESを超えないので骨を成長させ続けるには漸進的な負荷を与える必要がある
無酸素性トレーニングと骨の成長
骨は負荷が加わると補強して直径と強度が増加する
なので筋力または筋量の増加は骨密度の増加、もしくはミネラル含有量の増加につながるなので、筋力または筋量の増加は骨密度の増加に繋がると考えられる
逆に身体活動の低下や身体の一部を固定してしまうと、
増加よりも速い速度で骨基質と骨密度は失われてしまいます!
骨強度を増加させるためのトレーニング原理
骨形成刺激(新たな骨形成を刺激する要因)を最大限に引き出すには、
- 複数の関節が関与する
- 力のベクトルが脊柱と股関節を通る
- 単関節エクササイズよりも重い負荷を使う
効率的に骨の強度を高める方法
体軸性骨格と下半身においては
- バックスクワット
- パワークリーン
- デッドリフト
- スナッチ
- プッシュジャーク
上半身はショルダープレスなどのエクササイズをするといい
漸進性過負荷の原理(負荷を徐々に重くしていく)は骨量増加のトレーニングにもいい
骨は繰り返し加えられる強い力(1〜10RMの負荷)に反応する
成長期の骨の方が成熟した骨よりも反応しやすい
成長期の身体活動によって骨格の強度の上昇が起こる
負荷の大きさや発揮速度が十分であれば、1回のトレーニングで30〜35回の反復で十分。これ以上増やしても変わらないみたいです。
無酸素性トレーニングに対する腱、靭帯、筋膜の適応
腱には血管が少なく血行に乏しいため、筋に比べて腱の代謝はずっと遅い
エクササイズで骨格筋への血流が増加しても、腱への血流は同様には増えない
だから腱の怪我は治りにくいのです
結合組織(骨、腱、靭帯、筋膜、軟骨など)の強度の増加や負荷に対する耐性の増加は
- 腱(靭帯)と骨表面の接合部
- 腱あるいは靭帯の内部
- 骨格筋内の網状の筋膜
の部位に起こる
腱のサイズと強度の増加につながる腱内の特異的な変化
- コラーゲン繊維の直径の増大
- 直径の増大したコラーゲン線維内の架橋結合(強い化学結合)の増加
- コラーゲン線維数の増加
- コラーゲン線維密度の上昇
これらによってより大きな張力に耐えられるようになる
腱スティフネス(歪みあるいは腱の伸長に対する力の伝達)はレジスタンストレーニング(1RMの80%程度の高負荷)により増加する
無酸素性トレーニングへの軟骨の適応
軟骨の主な機能
- 関節内の骨表面を滑らかにする
- 関節内に加わる力の衝撃を吸収する
- 骨格への結合組織の付着を補強する
軟骨自体には血液の供給がなく、滑液からの酸素や栄養の拡散に頼るので
軟骨損傷の治癒はとても難しい
軟骨には2種類ある
- 骨の関節表面を覆っている硝子軟骨(関節軟骨)
- 非常に強力で脊柱の椎間板や腱−骨接合部に存在する線維軟骨
外的な負荷がなくなると、萎縮や軟骨の厚さが薄くなるので注意!
一旦ここまでで区切ります!