
無酸素性トレーニングに対する内分泌応答と適応
無酸素性トレーニングに対する内分泌系の応答には
- エクササイズ中とそのあとの急性の変化
- ワークアウトに対する急性応答の長期間にわたる変化
- 安静時濃度の慢性的変化
- ホルモン受容体含有量の変化
が含まれる
同化ホルモンの急性応答
無酸素性運動(特にレジスタンストレーニンング)で男性において30分後までに
- テストステロン
- 成長ホルモンの分子変異型(バリアント)
- コルチゾール
の濃度の上昇が示されている
濃度の程度は
- 大きな筋を使うエクササイズを行った時
- 強度が中程度〜高強度
- 中程度〜多量に組み合わせて休息時間がより短いワークアウト
特に3の時に最大になる
遊離テストステロンの上昇は、有酸素性トレーニングをしている男性よりレジスタンストレーニングをしている男性の方が大きい
インスリン様成長因子Ⅰ(IGF−Ⅰ)は成長促進を刺激する内分泌的メッセンジャー(身体のほとんど全ての細胞、特に骨格筋、軟骨において)
カテコールアミン(エピネフリン)、ノルエピネフリン、ドーパミンは無酸素性運動による短期的要求を反映して、その濃度の増加は力の発揮や筋収縮速度、エネルギー利用能の調節、他ホルモンの増加に重要な役割を果たす
安静時ホルモン濃度の長期的変化
安静時ホルモン濃度の長期的な変化は起こらない
同化ホルモンの慢性的上昇は長期的に見ると逆効果になる可能性があるので注意
ホルモン受容体の変化
レジスタンストレーニングにより、ワークアウト後48時間〜72時間の間、アンドロゲン受容体量が増加する
ワークアウトの前後のタンパク質と炭水化物の摂取により、アンドロゲン受容体数の減少を抑えられる
無酸素性エクササイズに対する心臓血管系と呼吸器系の急性応答
短期的な無酸素性運動と、継続して無酸素性トレーニングを行った場合の両方において、心臓血管系と呼吸器系の機能に有意な影響がある
無酸素性エクササイズに対する心臓血管系の急性応答
短期間の無酸素性運動により
- 心拍数
- 1回拍出量
- 心拍出量
- 酸素摂取量
- 収縮期血圧
- 活動している筋への血流量
が増大する
セット終了から5秒間の心拍数はセット中よりも高くなる
血流増加の程度は
- 負荷の強度
- 力を発揮した時間の長さ(繰り返した回数)
- 使われている筋の筋量
によって決まる
血流の欠如(続いて起こる水素イオンなどの代謝産物の増加とpHの減少)は筋の成長に強力な刺激になる
心臓血管系の短期的応答の大きさは
- エクササイズの量と強度
- 活動する筋量
- 休息時間の長さ
- 収縮速度
によって決まる
安静時の心臓血管系機能の長期的適応
高重量のレジスタンストレーニングは、
安静時の心機能にはほとんど影響を与えない
量が多く、休息時間が短いプログラムは
より大きな機能改善が起こる可能性がある
無酸素性運動に対する心臓血管系の短期的応答の長期的な適応
ボディビルダーの心拍出量と1回拍出量の最大値はパワーリフターよりも有意に大きい
酸素吸収は高負荷および低量のレジスタンストレーニングでは向上しない
持続的な有酸素性運動による向上が大きい
でも多量で休息時間が短いレジスタンストレーニングならわずかに向上する
無酸素性運動に対する換気の適応
トレーニングをしてる人の方が換気効率が高い
換気効率の上昇は酸素の換気当量(組織に取り込まれた酸素に対する換気された空気の比率)の低下という特徴がある
有酸素性トレーニングと無酸素性トレーニングの相互作用
レジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングを組み合わせて行うと、有酸素性持久力トレーニングの強度や量、頻度が高い場合には、筋力とパワーの向上を妨げる
逆に高重量レジスタンスエクササイズは有酸素性パワーに有害作用はない
3ヶ月間の研究
- レジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングを組み合わせたグループ
- 上半身のレジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングを組み合わせたグループ
- レジスタンストレーニングのみ
- 有酸素性持久力トレーニングのみ
- 対照群
- 3は1よりも1RMの筋力と筋力の立ち上がりが増加した
- 最大酸素摂取量の改善への影響はなし
- 有酸素性持久力トレーニングで筋繊維の萎縮が起こる
- 1と3はタイプⅡxからタイプⅡaにへ移行した
- 高重量レジスタンストレーニングが高強度のインターバルトレーニングよりも多くのタイプⅡx線維を動員する
- 1はタイプⅠ線維は変わらずタイプⅡa線維の断面積が増大した
- 3はタイプⅠ線維もⅡ線維も増大した
- 4はタイプⅠ線にタイプⅡc線維が萎縮した
この結果からは目的によりますが、筋力アップや筋肥大が目的であればやはりレジスタンストレーニングのみ行った方がいいですね!
もう1つの研究では
週4日のトレーニング(レジスタンストレーニング2回、有酸素性持久力トレーニング2回)の方が
週2回(両日ともレジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングの両方やる)よりも
レッグプレスの1RMの増加幅が大きかったみたいです
有酸素性持久力トレーニングとはいえトレーニングのボリューム増えるのでその影響もあると思いますが、有酸素性持久力トレーニングでも筋力が上がったのは興味深いですね!
他の研究だと2種類のトレーニングかレジスタンストレーニングのみかを21週間行ったところ
レジスタンストレーニングのみのグループは筋パワーが増加したが
2種類の方はそれほど増加しなかったみたいです
クロスフィットやってる自分が言うのも変ですが、やはり分けてやった方が良さそうですね!笑
また他の研究では
25分間の有酸素性運動の30分後に3セットのスクワットをやると動作回数が13%〜36%減少したみたいです
あまり長い有酸素性運動を筋トレ前にやらない方がいいかもしれないですね!
オーバートレーニング
アスリートがパフォーマンス低下を招くような過度なトレーニングを経験したときの一時的反応はオーバーリーチまたは機能的オーバーリーチ(FOR)と呼ぶ
この場合からの回復は通常数日間あるいは数週間の休養で達成れる
適切な回復や再生を伴うことなく続けると過度なオーバーリーチ状態、あるいは非機能的オーバーリーチ(NFOR)へ発展することがあるので注意!
これは数週間から数ヶ月続くのでやりすぎ注意!
最初の兆候と症状としては
- パフォーマンスの低下
- 疲労の増加
- 活力の低下
- ホルモンの障害
これらが起こった時オーバートレーニング症候群(OTS)との区別が難しくなります
このオーバートレーニング症候群(OTS)の場合は6ヶ月も続く場合もあり、最悪の場合は選手生命が絶たれることもあるほどなのでここまでくる前に休養しましょう!
まとめると
- トレーニングの過負荷により
- 急性の疲労が起きる 回復に数日
- 機能的オーバーリーチング(FOR) 数日〜数週間
- 非機能的オーバーリーチング(NFOR) 数週間〜数ヶ月
- オーバートレーニング症候群(OTS) 数ヶ月〜
この順番で進行していきます!
ただ個人差もあり、これだと言えるハッキリとした指標はないので判断は難しいです!
1RMの負荷で10セットのトレーニングを7日間続けて1日休息をとる研究では
73%の人が1RMが低下したが、中には上がっちゃう人もいたそうです!
個人の反応やトレーニングの状態、遺伝的素質など個人差があるので周りに惑わされず、自分の身体を向き合うようにしましょう!
ディトレーニング
無酸素性トレーニングの中止または頻度、量、強度のどれかまたはこれらを組み合わせて大幅に減少した後に続く、パフォーマンス低下と蓄積された生理学的適応の喪失のこと
全般的なスポーツパフォーマンスは4週間にわたる不活動でも容易に維持される
このコロナで1ヶ月動いてなくてもそんなに心配しなくても大丈夫ってことですね!ただし
高度にトレーニングを積んだ競技選手においては伸長性の力および競技特異的なパワーは明らかに早く低下するので注意です!
レクリエーション程度のトレーニングをしている男性だと6週間でもほとんど変化ないみたいです!
トレーニングをしっかりしてる人ほどパフォーマンスが低下しやすいです
8〜12週間トレーニングしない場合だと喪失するのは7〜12%に限定されるみたいです!
でもマッスルメモリーでトレーニングを再開した時には筋力の再生向上する速度は速いのでまた頑張れば大丈夫です!
特徴としては遅筋線維よりも速筋線維が減少するのでパワー系の選手は休みすぎ注意です!
まとめ
爆発的トレーニングは筋パワーを大きく増加
高重量のレジスタンストレーニングは筋サイズと筋力を増加
無酸素性トレーニング(レジスタンス、スプリント、プライオメトリックス、アジリティ、高強度インターバルトレーニング)により、動員や発火頻度、同期の増大、筋機能が亢進され、筋力とパワーの増加が可能となる神経系の適応が引き起こる
骨格筋の量や力を生み出す能力の増加、代謝機能の向上、組織のリモデリングを促進する内分泌系のわずかな変化につながる可能性がある
つまり
神経筋系、骨格筋系、内分泌系、心臓血管系の機能向上が筋力、パワー、筋肥大、筋持久力、運動能力の向上につながる
無酸素性トレーニングはいいことだらけで素晴らしいってことですね!